ニューヨーク・ヤンキースで活躍した松井秀喜が2018年1月24日に選出されるアメリカの野球殿堂入りの候補者に選ばれました。とても嬉しいニュースですね。これはどのくらい凄い事なのでしょう?また実際に殿堂入りの可能性はあるのでしょうか?少し考えてみたいと思います。
野球殿堂入りはどうやって選ばれる?
野球殿堂入りされるためにはまず候補者になる必要があります。全米野球記者協会の審査委員会が、MLBで10年以上プレーして引退後5年を経過した選手から、まず候補者にするかどうかを決めます。松井秀喜は今年新たに候補者に選ばれた19人のうちの1人です。その後、記者協会に10年以上属しているベテラン記者が投票をします。投票は10人まで選ぶことができ、得票率75%以上になれば殿堂入りです。反対に得票率が5%を下回ると翌年より候補者から外れます。5%から75%の候補者は翌年また投票候補にはいることができ、このチャンスは全部で10回です。昨年から残った候補者も含めると今回の候補者は33人。何回目で選出されるか、得票率がどのくらい集まるかというのが功績を物語っているともいわれ、デレク・ジーターやイチローは候補1年目で100%選出が確実だろうといわれています。
クーパーズタウンとは?
そもそも野球殿堂入りは、ニューヨーク州のクーパーズタウンにあるアメリカ野球殿堂博物館が母体となっています。1939年、クラーク財団という私設の財団が、野球発祥の地といわれるクーパーズタウンに観光客を集める目的で作られました。その後はMLBも協力してコレクションや資料を寄贈して大きくなったようです。イチローもシーズンオフに毎年訪れるというクーパーズタウンは、マンハッタンから車で4時間ほど。野球発祥とされる球場があり、野球関連のギフトショップが数件並ぶのどかな田舎町です。博物館には世界中から集まった野球関連の記念品などが展示され、野球好きにはたまらない場所。1階のホールには殿堂入りした選手や監督がレリーフと共に飾られています。
松井の殿堂入りをニューヨークのメディアが後押し!?
日本人では、日本人メジャーのパイオニア野茂英雄が候補に選ばれましたが、1年目で得票5%を得ることができず落選しました。松井は日本人で野手としては初めて候補者に選ばれるという快挙です。しかしそこは野球に詳しく厳しい目を持ったベテラン記者ですから、純粋にMLBで何を成し遂げたのかという見方をされます。そこには日本の成績は関係ありません。MLB単体で見ると松井は選手として10年、ホームランも175本ですから、どうしても他の候補者と並ぶと見劣りしてしまいます。しかしニューヨーク・ポストの辛口コラムニストとして知られているジョエル・シャーマンは、松井が日米双方で野球界に貢献したMLB記録には表れないことを考慮すべきだと語ってくれています。松井はヤンキースが直近で最後に世界一になった2009年のワールドシリーズでMVPに輝くなどその活躍は印象的で、その真摯な姿勢からニューヨークではいまだに絶大人気なんです。
今回の候補者は猛者ぞろい!?
とはいえ、松井が得票5%を獲得する可能性は極めて低いと見られています。候補者の中には、ダントツの成績ながら禁止薬物問題で過去5回落選しているバリー・ボンズやロジャー・クレメンスもいます。通算セーブ記録生涯2位のトレバー・ホフマンや通算449ホームランのブラディミール・ゲレーロは前回惜しくも落選し、今回の選出が確実視されています。さらに松井と同じく今年から候補者になった中には、チッパー・ジョーンズやジム・トーミの有力候補者が。楽天でも活躍したアンドリュー・ジョーンズもいます。仮に松井が、選手としての選出が叶わなくても、いつかメジャー初の日本人監督になり、監督や貢献者としての選出を狙って欲しいものですね。