サンフランシスコ・ジャイアンツのスターといえば、イメケンで4番のバスター・ポージー捕手だ。チームの大黒柱でもある正捕手は、攻守で存在感がある。2010年の新人王で、2012年にはチームをプレーオフに導いた。地区シリーズで満塁本塁打を放つなど活躍し、ワールドシリーズ進出に貢献。同シリーズでは4連勝で世界一となり、MVPにも選ばれた。野球での実績だけでなく、顔もイケメンでファンからは大人気のスター選手だ。
実際、ポージーは端正な顔立ちでクールな紳士だった。レギュラーシーズンの試合前、ジャイアンツのベンチにポージーが現れると、周りのメディアからは「やっぱり格好いいな〜」という声が聞こえた。陽気なタイプではない。冷静で、スマートな雰囲気をかもし出す、頭の良さそうな捕手といった感じだ。それでいて、4番打者でもある。だから、人気が高いのだろう。たとえ、敵地での試合だとしても、拍手は大きいと感じる。メジャーリーグのスーパースターの1人。そんな印象だ。ンフランシスコ・ジャイアンツのスターといえば、イメケンで4番のバスター・ポージー捕手だ。チームの大黒柱でもある正捕手は、攻守で存在感がある。2010年の新人王で、2012年にはチームをプレーオフに導いた。地区シリーズで満塁本塁打を放つなど活躍し、ワールドシリーズ進出に貢献。同シリーズでは4連勝で世界一となり、MVPにも選ばれた。野球での実績だけでなく、顔もイケメンでファンからは大人気のスター選手だ。
ポージーの魅力は実績や容姿だけではない。不屈の精神が人々を惹きつけるのだろうと思う。ポージーは新人王を獲得した翌年の2011年、左足首の靭帯を断裂する大怪我を負った。シーズン中の5月、本塁でのクロスプレー時に三塁走者から激しいタックルを受け、その場で悶絶した。映像を見ると、その痛々しい姿は目を覆いたくなる。靭帯の断裂というのは、おそらく、気持ちが悪いぐらいの痛みを伴う。私自身も、膝の靭帯を損傷したことがあるが、その時の痛みは人生で味わったことのないくらい、耐えられないものだった。損傷のレベルでそれほどの痛みだから、断裂はもっと痛いだろう。当時のポージーの苦しみがどれほどのものだったか、それは計り知れない。
靭帯断裂の骨折後、シーズン中の復帰は叶わなかったが、翌年に復帰した。2012年、前述にもあるように、ポージーは大活躍した。オールスターのファン投票ではリーグ最多得票で選出され、初めて夢の祭典に出場した。大怪我から復帰明けの年、148試合に出場し、打率3割3分6厘で首位打者にも輝いた。オフには文句なしのカム・バック賞も受賞。怪我から復活して、いきなり活躍し、ワールドシリーズでチャンピオンになり、MVPまで獲得した。苦難に耐え、再び輝きを見せたポージーの姿にジャイアンツファン、またメジャーリーグファンは心を動かされた。人は、困難にもめげずに頑張る人を応援したくなる。それは世界共通の感情だと思う。
約1年間のリハビリ生活は、厳しいものだったろう。ポージーの怪我からわずか2ヶ月後、ダイヤモンドバックスの遊撃手も、同じように本塁でのクロスプレーで走者として足首を骨折する怪我をした。ポージーは復帰したシーズンの春のキャンプで、米スポーツ専門局のESPNの取材にこう答えている。「なぜだかは分からないけど、自分の(怪我の映像)を見るのは大丈夫。ただ、他の選手の同じような光景を見ると、腹痛がする 」。痛みが分かるからこそ、心が痛むのだろう。クロスプレーでの大怪我なんて、二度と起きて欲しくない。きっとそう思っていたはずだ。
ポージーの大怪我を一つのきっかけにして、メジャーリーグは2014年から本塁上でのクロスプレー禁止をルールとして適用した。日本でも2016年から取り入れられた、いわゆる「コリジョン・ルール」だ。アウトなのか、セーフなのか、本塁上でのエキサイティングでダイナミックなプレーは見られないが、その分、怪我のリスクが減ったのは間違いない。他の選手の怪我も気にかけるポージーにとっては、念願叶ったルールになったのではないだろうか。大怪我はメジャーのスター選手を失うことにもつながる。それでは、本末転倒だ。健康体でファンに全力プレーを見せることが、何よりメジャーリーグの為になる。1人でも多くのスターが誕生して欲しい。ポージーもそう思っているはずだ。
そんな中での今年のメジャーリーグ、新たなスター誕生の予感が漂っている。二刀流で全米を賑わせているエンゼルスの大谷翔平の存在だ。ジャイアンツは4月20日(現地時間)から3日間、エンゼルスと対戦した。投手の大谷と対決することはなかったが、打者として2試合、対戦した。その内の1試合で捕手として出場していたポージーは、大谷について多くは語らなかったが、「足が速くて、打席でもアイデアがあり、考えている」と高く評価している。報道によると、昨年のオフシーズン、大谷獲得の最終候補に残っていたジャイアンツは、ポージーも同席して直接面談に臨んだという。チームメートになることは叶わなかったが、大谷がメジャーリーグにとって楽しみな存在であることは、ポージー自身も感じているだろう。
エンゼルスとの対戦後に一言、大谷について口を開いた。「とにかく、見ていて楽しいよ」。これが本音なのだと思う。チームとしては敵だが、メジャーリーグ全体としては、新たなスター誕生はプラスなこと。サンフランシスコのスーパースターも、大谷の活躍を期待している。スター選手だからこその、一言だったと思った。