プロ野球の開幕と時を同じくして、メジャーリーグも一斉に開幕した。昨年は、ヒューストン・アストロズが球団史上初の世界一を達成して幕を閉じたが、今年はいったいどうなるのだろうか。個人的な期待や米国メディアの見解も考慮して、各地区の戦いを予想する。今回はア・リーグの展望と見所を挙げてみたい。
〜 ア・リーグ西地区〜
アストロズが頭一つ抜け出しているか。昨年101勝を挙げたチーム力は変わらず、ジョージ・スプリンガー、ホセ・アルトゥーベ、カルロス・コレアといった主力打者はほとんどが去年と同じメンバーで、戦力は変わらない。投手力がやや落ちるが、ジャスティン・バーランダーを筆頭に今年もバランスのとれたチーム構成になるだろう。昨年2位のエンゼルスがこれに対抗するが、こちらも投手力がやや不安。ピッチャー陣の怪我が多く、大谷翔平の二刀流起用をいかに生かすかが、鍵を握る。野手はマイク・トラウト、イアン・キンズラー、ジャスティン・アップトン、アルバート・プホルスなど実力者が揃い、得点力は高いとみられる。アスレチックスは若手中心のチームだが、ベテラン捕手のジョナサン・ルクロイや2年連続で40本塁打以上のクリス・デービスらが引っ張れば、上位浮上も見える。マリナーズはイチローの復帰、岩隈久志も5月頃に復帰予定で、注目度は高い。レンジャーズはダルビッシュが抜け、今オフの補強もそこまで上手くいかなかったため、苦戦が強いられるか。
〜ア・リーグ中地区〜
2年連続で18勝を挙げ、昨季2度目の最多勝を獲得したコーリー・クルーバーが引っ張るインディアンスが頭一つ抜け出ているとされている。昨年、リーグ新記録の21連勝をマークした底力は今年も健在。野手では昨季33本塁打の遊撃手フランシスコ・リンドー、マルチプレーヤーのホセ・ラミレスなどを中心に、投打にバランスがいい。チームは昨年103勝したが、今年も100勝する可能性はあるとみられている。これに続くのが昨年ワイルドカードでプレーオフに進出したツインズ。昨季16勝を挙げたベテランのアービン・サンタナが右手指の手術で故障者リスト入りし、出遅れることが心配材料となっている。ホワイトソックス、タイガース、ロイヤルズは若手中心のチーム編成で、数年後に浮上してくると読まれている。
〜ア・リーグ東地区〜
昨年同様、レッドソックスとヤンキースの2強になると予想されている。中でも昨季メジャー30球団で1位の241本塁打を放ったヤンキースに、ナ・リーグ本塁打王のジアンカルロ・スタントンが加わった。破壊力を増した打線は見物だ。メジャー2年目のアーロン・ジャッジが昨年と同じように活躍できるのか、こちらも注目したい。投手陣では田中将大やソニー・グレイ、ルイス・セベリーノ、CC・サバシアに守護神アロルディス・チャップマンなど守りも計算できる。一方でレッドソックスは、昨年から大幅な補強はしていないが、昨季45本塁打を放ったJD・マルティネスと契約。打線に厚みが増した。ヤンキース打線とレッドソックス打線の対決も面白そうだ。この2球団に続くのが、ブルージェイズとみられている。一昨年20勝を挙げたJA・ハップ、15勝を挙げたアーロン・サンチェスらがフルシーズン戦えれば、3強に躍り出る可能性も十分にある。3年連続で30本塁打以上を放ち、2015年にはア・リーグMVPを獲得したジョシュ・ドナルドソン、ドジャースから加入したカーティス・グランダーソンらがどれほど活躍できるか、注目だ。レイズ、オリオールズは他3球団に比べて戦力が劣り、苦戦が強いられそうだ。ちなみに、今オリオールズの先発陣は30球団ワーストと米国メディアから酷評されている。
次回はナ・リーグについて見所を紹介する予定。